1月24日(火)日本記者クラブにてESUJ新春講演会を開催いたしました。
2012年の年始めにお招きしたのは渋澤 健さん。近代日本の発展の祖 渋澤栄一氏の子孫(栄一は健氏のgrandfather of grandfather)であり、企業家、投資家として、また数々の著書や講演もこなされるなど多方面でご活躍されています。『持続可能な長期成長とは?日本にとって企業統治は新しい話ではない』というテーマで、英語でご講演いただきました。
History doesn’t repeat itself, but it does rhyme—Mark Twain
冒頭にマークトウェインの言葉を紹介され、近現代日本では明治維新、欧化政策、戦争時代、高度成長と‘30年’がサイクルのキーワードとおっしゃる渋澤さん。‘資本主義’の父(実はご本人はこの言葉を使わなかったそうですが)渋澤栄一は『論語と算盤』では道徳と経済、倫理と利益を両立させてこそ経済は発展し、そうでなければ永続はできないと説いています。時代を経て今、コーポレートガバナンス(企業統治)とはあたかもグローバルキャピタリズムの流れで押し寄せてきた「ルール」のように捕らえらがちですが、その真髄は「企業の持続的価値を創造する思考基盤」という「プリンシパル」であり、現状維持にはしらず、「持続性」を見据えた長期的発展、持続可能な長期成長の原理原則であること、そしてこのコーポレートガバナンスの3つのD、Diversity(多様性)、Dialogue(対話力)、そしてDuty(任務感)について説明くださいました。渋澤栄一が既に100年前に示していた事業経営に対する理想はまさにコーポレート・ガバナンスだったのですね。
小学校途中から大学まで米国で過ごされた渋澤健さんは、英語で講演されるのは久しぶりとのことでしたが、その流暢かつわかりやすい英語と、ビジュアルにも理解しやすい素晴らしいPCプレゼンテーションも大変勉強になりました。偉大なる先祖の教えを今に伝え、さらに今の時代だからこその、将来への持続的成長を見据えて活動されている渋澤さん。そのソフトであたたかいお人柄とシャープな頭脳ぶりが伝わってくる興味深いご講演でした。
前夜は東京も突然の大雪に見舞われ、当日も道路に雪が残っていましたが、お陰様で充実した時間を過ごしてテンションもあがり、しばし外の寒さもすっかり忘れました。