1月25日(金)、新春講演会を開催しました。今年は初めてカナダ商工会議所(CCCJ)と共催し、会場もESUJとしては初の六本木ヒルズです。森タワーのTMI総合法律事務所内のセミナールームに入ると全面ガラスの向こうにはシティビューが広がり、冬のクリアな青空のもとに連なる山脈と、その先にはなんと雄大な富士山がお出迎え!早く見えた方々は刻々と変わる夕焼けの美しい富士山の新春お年玉付となりました。
さて、今年のスピーカーは作家、探検家であり、環境保護活動に尽力されているC.W.ニコルさんです。足の骨折から2ヶ月を経てお元気に復帰された沼田会長が冒頭に新年のご挨拶をされ、続いてCCCJ ウェイクリー会頭が、共に在日歴長く盟友であるニコルさんをご紹介くださいました。全国各地で講演されることの多いニコルさんですが、ご本人曰く英語でお話されるのは年1-2回という貴重な機会だそうで、”Back to the Begining, Forests and the Future of Japan” (「原点に戻って–森林と日本の将来」)というテーマでお話していただきました。
ニコルさんは英国南ウェールズに生まれ、その後カナダに渡り水産調査局の研究所で海洋哺乳類の調査研究や北極への調査探検などを経て1960年代に初来日されました。英国では野生のクマは既に1000年ほど前に絶滅したそうですが、日本の豊かな自然に魅せられました。しかし、経済発展とともに森が伐採され、山は崩され、生態系が破壊されていく現状を目の当たりにして、‘日本の森を何とかしたい!’という切なる思いから荒れ果てた里山を購入しての再生活動が始まりました。それが長野県黒姫にある「アファンの森」です。この名前はニコルさんの生まれ故郷ウェールズで、石炭の採掘とその後の荒廃で荒れた山が人々の手によって蘇られたアファン森林公園に由来しているそうです。お話の途中にはアファンの森の美しい映像も紹介されました。森に水を入れ、風を通すと鳥や動物たちがやってきて、、、人の努力で森は確実に再生していきます。映像では緑美しいアファンの森と隣接する国有林の森が境界線でくっきりと異なっている風景も紹介され、森は生きていることを実感させられました。
そして、現在ニコルさんが尽力されているのが「アファンの森 復興震災プロジェクト」。3.11の震災で被災した子供たちを森に招待して思いっきり遊んで笑顔になってもらうプログラムや、東松島で復興の森づくりとその森に学校の再建を目指すプロジェクトなど、被災地の子供たちや住人に心を寄せて精力的に活動されているお話もご披露くださいました。
大柄でゆったりと、穏やかな口調で、時にはいたずらっぽくジョークも飛ばしながら森やそこに住む動物たちについて、また東松島のプロジェクトについて熱く語るニコルさん。溢れるやさしさは、忍耐強い努力と時には森を守るために様々な圧力などとも闘ってきた勇敢な強さあってのことでしょう。Q&Aでは森にはなぜヒーリング効果があるのかといった質問も出ましたが、ニコルさんはまさに森そのもの、話題豊富で奥深いお話に大いに癒され、パワーをいただきました。
講演会の後は森タワー最上階の六本木ヒルズクラブにてレセプション。きらめく東京の夜景とスタイリッシュな空間で気さくなニコルさんとESUJ&CCCJメンバーの皆様での語らいが続きました。
C.W.ニコル アファンの森財団のサイトはこちら